競馬&格闘技その他

[2011年11月03日(木)]

【格闘技】18年続いた「K-1 GP」の歴史がついに途絶えるのか!?

  • 佐瀬順一●文 text by Sase Junichi
  • photo by AFLO

全盛期のK-1はアーツやフグらスターの活躍で平均視聴率20%を越えていた〝ミスターK-1〟ピーター・アーツ、〝フォー・タイムス・チャンピオン〟アーネスト・ホースト、〝鉄人〟アンディ・フグ……。『K-1』と聞いて、彼らの名前を思い浮かべる人は多いだろう。もちろん、魔裟斗や長島☆自演乙☆雄一郎といったミドル級(K-1 MAX)を思い描く人もいると思うが、煌(きら)びやかなドレスで着飾った藤原紀香や長嶋一茂が放送席を陣取り、プリンスの曲『エンドルフィンマシン』が流れるフジテレビの中継を見ていた人なら、やはりK-1といえば〝ヘビー級〟だ。
 
 1993年に日本で誕生したK-1は、2000年から本格的に世界へと進出。当初、ヘビー級を中心とした『K-1 WORLD GP』シリーズは毎年春ごろにスタートし、世界各国で予選が開かれた。近年は9~10月ごろに韓国で開幕戦が行なわれ、12月に日本で開催される決勝トーナメントで、その年の〝K-1 GP王者〟が決まる。1998年にはピーター・アーツが3度目、2002年にはアーネスト・ホーストが4度目の優勝を飾ったが、2003年と2004年はレミー・ボンヤスキーが連覇して世代交代。さらに2005年に初優勝したセーム・シュルトは、2009年にアーネスト・ホーストと並ぶV4を達成した。
 
 その18年も続いているK-1の象徴『K-1 GP』が、今年はまだ開幕すらしていない――。
 
 2000年代前半、PRIDEなど他団体への選手流出を防ぐため、選手のファイトマネーは高騰し続けた。しかし、格闘技ブームが下火になってきたり、世界的不況になっても、一度上がったファイトマネーを下げることができず、K-1を運営するFEG(ファイティング&エンターテインメント・グループ)は財政難に陥った。FEGの谷川貞治代表は、まだK-1人気の高い中国で投資家を募り、2011年からは「体制を一新して再出発する」と明言。しかし東日本大震災の影響もあって、新体制についての発表がされないまま、時は過ぎていった。
 
 そのため、K-1存亡の危機が囁(ささや)かれ出したのだが、FEGは10月29日に中国・南京で『K-1 WORLD GP』開幕戦を開催すると発表。毎年開催されてきたK-1 GPは、今年も開催されることを知り、安堵したファンも多かっただろう。しかし、『10・29』が近づいても、対戦カードはおろか、チケットの発売すら始まらず……。「本当に南京大会は開催されるのか?」という声は、日に日に増していった。それでも、谷川氏をはじめとするFEGは、沈黙を続けていた。

 すると、思わぬところから「今年のK-1 GPは開催されないでしょう」という発表があった。その声明を出したのは、欧州最大のキックボクシング団体『イッツ・ショウタイム』のサイモン・ルッソ代表である。長年K-1をサポートしてきたルッソ代表は、しびれを切らしたかのように「K-1は運営を引き継ぐ新会社と最終的な契約をまだ終えていないし、選手が中国で試合をするために必要なビザも準備できていない」と具体的な理由を挙げて、K-1 GP開催が困難であることを説明した。そしてルッソ代表の声明から遅れること10日、FEGは大会2日前の10月27日になって、ようやくK-1南京大会の延期を発表した。中止ではなく、あくまでも〝延期〟である。
 
 とはいえ、たとえ『K-1 GP』が開催されたとしても、あの華やかなテレビ中継となるかどうかは不透明だ。1990年代後半から2000年代前半には平均視聴率20%台を叩き出した『K-1 GP』も、近年は平均10%前後。テレビ全体の視聴率が落ちている近年では健闘しているともいえるが、テレビ放送に関しては新体制になってから改めて話し合うということだったため、今年はまだ一度も地上波でK-1が中継されていない。中継がないと、番宣を含むテレビでの露出は激変し、結果、K-1はすっかりお茶の間から忘れ去られたかのように感じる。「昨年のK-1 GP王者は誰?」と聞かれ、パッと応えられる人がどれくらいいるだろうか?(ちなみに2010年の王者はアリスター・オーフレイム)
 
 K-1を支えてきたピーター・アーツやジェロム・レ・バンナは、アントニオ猪木が主宰するプロレス団体『IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)』で、格闘技色の強いプロレスに挑戦。さらにK-1ヘビー級王者だった京太郎はベルトを返上してボクシングに転向し、初代K-1ヘビー級王者のバダ・ハリもボクシング転向を表明している。

 選手が離れていき、テレビ中継もなく、お茶の間からK-1が忘れ去られようとしている中、K-1の創始者である石井和義氏が11月3日に北京で会見を開き、国際K-1連盟(FIKA)を設立することが明らかとなった。格闘技イベントになっていたK-1を、創始者の手で〝競技性を重視したスポーツ〟として再生していくという。国際K-1連盟による〝新生K-1〟は、2012年に世界32ヵ国で国内トーナメントを開催し、勝ち残った各国の代表選手32名による『K-1 WORLD GP』を始動する予定。その一方で、谷川氏らFEG側からはいまだ何の発表もない。

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