函館記念は今年も波乱があるか 注目はコース相性がいいハービンジャー、ジャスタウェイ産駒 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 ローシャムパークはこれまで8戦4勝。昨年4月の山藤賞(中山・芝2000m)を7馬身差で圧勝し、GⅡセントライト記念で3着。今年に入ってからは前走のむらさき賞(東京・芝1800m)など2勝を挙げオープン入りを果たしている。むらさき賞は出遅れてダッシュつかず展開は向かなかったが、直線では馬群の狭いところを割って抜け出しており、非凡な勝負根性と瞬発力を見せた。

 函館競馬場でのレースは初となるが、右回りの2000mでは2勝しているため問題ないだろう。人気も高くなりそうだが、素質馬の重賞初Vに期待だ。

 もう1頭はテーオーシリウス(牡5歳、栗東・奥村豊厩舎)を推す。同馬の父ジャスタウェイは、2020年の函館記念を15番人気で勝利したアドマイヤジャスタの父。それを含め、ジャスタウェイ産駒は函館・芝2000mで5勝、勝率25.0%、連対率30%、複勝率45%という高い数字を残している。ジャスタウェイの父ハーツクライの産駒も、2019年にマイスタイルが勝利しており、この系統は全体的に相性がいい。

 テーオーシリウスは、昨年の今頃まで1勝馬だったが、昨年7月から今年4月にかけて3勝し、オープン入りしてきた新勢力。4月の美浦S(中山・芝2000m)は5馬身差の圧勝だった。函館は前走の巴賞が初出走で、逃げ粘って0秒3差の3着だった。

 函館記念は巴賞出走馬が穴をあけるケースが多く、過去10年では2016年の13番人気2着のケイティープライド、2020年の13番人気2着のドゥオーモなど6頭が馬券に絡んでいる。

 逃げて結果を残している馬のため、同型との兼ね合いがポイントとなる。他で逃げが予想されるアルナシームは無理には逃げないタイプで、ユニコーンライオンはテーオーシリウスよりハンデが4kgも重いため、意外とすんなりマイペースを取れる可能性も十分だ。人気も集まりにくそうだが、大駆けに期待する。

 以上、今年の函館記念はハービンジャー産駒ローシャムパーク、ジャスタウェイ産駒テーオーシリウスの2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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