コントレイルに重ねたディープの姿。ダービー圧勝→無敗の三冠馬親子誕生か (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 あとは、ゴールまで一本道である。コントレイルは1頭だけ、次元の違う末脚で弾けていった。その様を、ダービーにおける父ディープインパクトの姿と重ねていたのは、筆者だけであろうか。

「桁違い」とは、この馬の、この強さを言うのだろう。

 レース後、陣営は早くも「秋はGI菊花賞(京都・芝3000m)が最大目標になる」と宣言した。

 前哨戦も含めて、菊花賞も勝てば、父ディープインパクト以来となる、史上3頭目の無敗の三冠馬となる。

 もう1頭の無敗の三冠馬は、シンボリルドルフ。種牡馬となって、無敗の二冠馬トウカイテイオーを出した。ただ、トウカイテイオーは、ダービーのレース後に負傷し、菊花賞には不出走。親子2代での無敗の三冠馬という夢はかなわなかった。

 つまり、コントレイルが無敗で菊花賞を制することになれば、史上初の、無敗の三冠馬親子の誕生となる。

 無論、その先にもさまざまな夢が広がる。なかでも、最も期待されるのは、ディープインパクトの後継種牡馬となることだ。

 ディープ産駒の種牡馬は何頭かいる。だが、いずれも「後継」と名乗るには決め手を欠いている。その状況に、コントレイルが終止符を打つ――多くのファン、関係者が抱く夢である。

 コントレイルのダービー制覇。そのことを一番喜んでいるのは、昨年夏に亡くなった父ディープインパクトかもしれない。

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