ブラストワンピースのダービー戦略。「異例のローテ」にはワケがある (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 この選択の背景には、どんな考えがあったのだろうか。

 同馬がレース間の短期放牧に訪れるノーザンファーム天栄(福島県)で、場長を務める木實谷(きみや)雄太氏は、その理由をこう明かす。

「ブラストワンピースはレース後、どうしても背中と腰に疲れが残り、回復に時間がかかってしまいます。そのため、レース間隔は2カ月ほど必要。2連勝のあと、ダービーまでに2回はレースを使えません。そこで、毎日杯からダービーというローテーションに決めました」

 11月19日にデビュー戦を勝ったあと、2戦目まで2カ月半ほどレース間隔が空いた。それも、「背腰の疲労が関係していた」と木實谷氏は言う。

 もちろん、2勝目を挙げた時点で、それだけの青写真を描くのは、この馬への期待の裏返しでもある。実際、陣営がダービーを意識したゆりかもめ賞の勝ち方は圧巻だった。

 道中は、出走14頭中10番手ほどの位置取りだった。後方でじっくり運んで直線を迎えると、およそ150mの間に一気に加速して先頭へ。馬群のど真ん中を力強く割って抜け出し、あとは後続を引き離すだけだった。2着に4馬身差をつける圧勝劇には、見ている誰もが度肝を抜かれた。

「あのレースぶりを見て、大きいところを狙えると思いました。スケールの大きさを感じさせる勝ち方でしたから。そこから、ダービーを最大目標に置いて、大竹正博調教師ら関係者と相談し、以降のローテーションが決まったわけです」

 ブラストワンピースが初めてノーザンファーム天栄に来たのは、新馬戦を勝ったあと。木實谷氏が言うには、「大型馬で、まだ背中や腰に緩さを残していた」そうだ。ゆえに「よくこの完成度で、新馬戦を勝てたな」と思ったという。

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