「皐月賞はボクがへたくそ」デムーロのリオンディーズがダービーで復権

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「リオンディーズはいわゆる“切れる馬”ではありません。長く同じような脚で伸びていくタイプです。シュッとした切れ味だけだったら、マカヒキやサトノダイヤモンドの方が上なんですよ。中山の直線は短く、皐月賞は切れ味のある馬が強いレースです。これは僕も実際に勝って知っています。

 弥生賞はそれもあって、皐月賞を意識して騎乗をしたレースでした。中山でどういう脚を最後に使うか。マカヒキがどれくらい切れる馬かを試したんです。ゴール前はマカヒキに差されましたが、休み明けで、前半少し掛かって、それでもあの内容だから皐月賞には自信を持てたんですよ。」

 その皐月賞の騎乗ぶりは、同じように早めに先頭に立ってマカヒキに差された弥生賞から何の教訓も得ていない、と否定的な意見が集まるが、超ハイペースを除けば、弥生賞のレース内容から十分に想像できる展開であった。もちろん、弥生賞の走りは勝つことも意識していたはずだが、同時に皐月賞に向けてテストをしたのではと問うと、「そう!」とデムーロは指を鳴らした。

「皐月賞はリオンディーズに有利な展開になるよう考えて、あの位置取りになりました。3コーナーの手前で、逃げていたリスペクトアースの手応えがなくなって、マウントロブソンが近づいてきました。あそこでリオンディーズが引っ掛かった、と言われますが、決してそうではありません。リオンディーズのフットワークを活かすことを考えたときに、リスペクトアースの後ろで我慢するのは窮屈になってしまうので、逆によくないと外に出した。自分が思っていたとおりのペースなら押し切れたと思うんです。だけど、実際はもっと速かった。あと、少し自信を持ちすぎていたかもしれません。大丈夫。少し速いぐらいでも押し切れる、と。4コーナーは本当にすごい手応えで、『このまま勝てる!』と感じていたんです」

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