フロンターレを強くするのは、「中村憲剛・35歳」という存在である

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 試合後、川崎フロンターレの風間八宏監督は穏やかな語り口とは裏腹に、厳しい言葉を立て続けに口にした。

「非常に残念。(自分たちがやろうとすることを)やろうとする選手が少なすぎた。やろうとすることを全面に出してほしかった。特に若い選手はこれを教訓にしてほしい」

 J1ファーストステージ第10節、ベガルタ仙台戦。川崎はボールポゼッションを高めて主導権を握る本来の試合運びができず、むしろ仙台に押し込まれる場面が目立った。

 MF大島僚太のゴールでどうにか同点に追いついたものの、1-1の引き分けに持ち込むのが精一杯。ホームでありながら負けていてもおかしくなかった試合展開は、前節終了時点で2位につけ、首位・浦和レッズを勝ち点2差で追うチームとしては、不甲斐ないものだった。

 指揮官が苦言を呈するのも無理はない。

「自分たちの手の中にあるものをまったく見せずに終わってしまった。若い選手も力は持っている。自分の欲求を高めてもらうしかないし、自信を持ってもらうしかない」(風間監督)

 長期的にチームを強くするうえで、世代交代は避けて通れない課題である。いかにベテランの能力が高くても、いつまでも彼らに頼っていれば、いずれは一気に力が衰える可能性があり、かといってあまりにも急激にメンバーを若手に切り替えることも危険だ。

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