なでしこの裏で連勝のU-23。発揮された高倉麻子監督の手腕

  • 松原渓●取材・文・写真 text&photo by Matsubara Kei

「判断に迷わない!」
「どこで(攻撃の)スイッチを入れる?」
「相手に読まれていることを読もう!」

 陽光に彩られたスペインの芝に、指揮官の声が響き渡る。

選手とのコミュニケーションを大切にしているという高倉麻子監督選手とのコミュニケーションを大切にしているという高倉麻子監督 リオ五輪予選と同時期に行なわれたラ・マンガ国際大会で、U-23日本女子代表が輝きを見せた。ノルウェーに4-0、スウェーデンに2-0、ドイツに1-0と3連勝を飾ったのだ。
 
 このチームを率いたのが、U-20日本女子代表の指揮官でもある高倉麻子監督だ。2年前にコスタリカで行なわれたU-17女子W杯で"リトルなでしこ"を世界一に導き、アジア女子最優秀監督賞を4年連続で受賞している。

 集合からわずか3日間という限られた準備期間で、指揮官は戦う集団を作り上げた。

 パスを細かくつなぐ日本のスタイルを熟知しているからこそ、試合中、スウェーデンやドイツはそのスペースを与えまいと激しく圧力をかけてきた。しかし、日本はテンポの良いパスにリズムの変化を織り交ぜ、鮮やかに相手を翻弄。指揮官は狙いをこう説明する。

「ボールを動かしながらどこで攻撃のスイッチを入れるか。パスのリズムを変えるか。その変化を加えるためにダイレクトパスを使うなど、緩急の変化をつけるように伝えています」
 
 国際舞台で得る経験は、選手を飛躍的に成長させる。

「リーチや寄せのスピードが違うので、日本の感覚でやっていると奪われる。それは国際大会のプレッシャーの中で試合をやらないと得られない感覚ですね」

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