【検証】消えたリオ五輪。なでしこ立て直しに私たちができること

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by HayakusaNoriko

 今回のリオ五輪予選では、ある構図が浮かび上がっていた。出場権を獲得したオーストラリア、中国、予選突破はならずとも、日本戦を引き分けに持ち込んだ韓国の3チームは、自分たちの強みを絞り込み、相手によって戦い方を変える柔軟さを見せた。結果、自スタイルにこだわった日本と北朝鮮、皮肉にも不変を貫いた2チームがはじき出された。

最後の北朝鮮戦に勝利後、笑顔で仲間の元へ向かった宮間あや最後の北朝鮮戦に勝利後、笑顔で仲間の元へ向かった宮間あや なでしこの十八番は"パスサッカー"ではなく、"連動したプレー"だったはず。連動がなければパスが通ることはない。通常であれば入るはずのタイミングで放ったシュートが何度も防がれた。止められるはずのところでゴールを奪われもした。悪い流れは止まらなかった。そこで生まれてしまったのが選手の"不信"だ。残念ながら味方を信じられないプレーも見受けられたが、この予選では信じられる形がないことから来る自信のなさが流れを失う原因のひとつになっていた。

 川村優理(ベガルタ仙台)。彼女の持ち味は強靭な相手にも体を当ててボールを奪い、攻撃に転じることができるところにある。川村は勝負どころの第2戦(韓国戦)でボランチに起用されたが、「ハードアタックできていたことだけが救い」と本人も語るように、悔しさは隠しきれない。ボランチの距離感を掴み切れていない川村にここを任せるのであれば、周りとの連動を築く時間を与えなければならない。

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