目もうつろ。J3転落の大分トリニータがはまった「弱者の法則」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki  日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan Sport/AFLO

天国と地獄~J2・J3入れ替え戦(後編)

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 2015年12月6日、大分銀行ドーム。大分トリニータはFC町田ゼルビアとのJ2・J3入れ替え戦に敗れ、J3降格が決まった。

町田に敗れてJ3降格が決まり、肩を落とす大分の選手たち町田に敗れてJ3降格が決まり、肩を落とす大分の選手たち 試合後のミックスゾーンでは、生え抜き選手で主力の為田大貴が多数のカメラやマイクやテープレコーダーを向けられていた。為田は誰とも目を合わせようとしない。うつむき加減に声を詰まらせ、語尾が消え入る。

「申し訳ない」

 彼は違う質問に、3度そう答えている。

「こういう試合で勝てない弱さ。勝てないことが弱さです」

 強い自責の念に苛(さいな)まれながら、どうにか言葉を絞り出す。

――では、何が足りなかったのでしょうか?

 記者の質問に彼は小さく唸り、腕を後ろに組み直しながら、答えをひねり出そうとしたが徒労に終わった。

「なんなんですかね? 今は考えられないです」

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