毎年主力が抜けても、なぜサンフレッチェは3度も優勝できたのか

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 広島の夜に歓喜が弾けた。

 J1年間王者の座をかけて争われたJリーグチャンピオンシップ(CS)決勝は、第1戦で3-2と勝利していたサンフレッチェ広島が、第2戦を1-1と手堅く引き分け。2戦合計1勝1分けでガンバ大阪を下し、2年ぶり3度目のJ1優勝を果たした。

ガンバ大阪とのチャンピオンシップを制して、3度目のJ王者に輝いたサンフレッチェ広島ガンバ大阪とのチャンピオンシップを制して、3度目のJ王者に輝いたサンフレッチェ広島 11年ぶりに2ステージ制が採用され、どこか焦点が定まりにくかった今季J1も、シーズン全体を通して見れば、J1優勝にふさわしい、最も安定した戦いぶりを見せたのは、広島だった。CSはどちらに転ぶかわからない一発勝負の怖さはあったが、広島は勝つべくして勝ったと言っていい。

 今季の広島はファーストステージこそ、無敗優勝を遂げた浦和レッズの後塵を拝したものの(3位)、着実に調子を上げてセカンドステージは優勝。それと同時に、年間勝ち点でも浦和を競り落とし、トップでリーグ戦を終えた。

 今季から新たな形でスタートしたCSでは、ガンバの抵抗に苦しみながらも粘り強く戦い、最後はFW浅野拓磨のゴールで優勝を手繰り寄せた。一戦一戦の勝負は紙一重の差でも、長いリーグ戦ではそれが積み重なり、大きな差となって表れる。つまりは、これが年間勝ち点1位と3位との差なのだろう。

 この優勝で、広島は最近4年で3度の優勝を果たしたことになる。決して潤沢な資金があるとは言えない地方のクラブにして、この成績は驚異的である。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る