CS出場逃したFC東京。「ウノゼロ」サッカーの進化と限界

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

「正直、チャンピオンシップに出たかったという思いがあり......」

 試合後のセレモニーでマイクの前に立った森重真人は、湧き上がる複数の感情を整理できないようだった。落胆か、憤りか、あるいは不甲斐なさか。スタンドから大きな声援が飛ぶが、彼は労(ねぎら)いを受けることを恥じるように唇を噛んだ。

「モリシゲ―!」

 名前を連呼され、彼はどうにか言葉を継いだ。

最終節の鳥栖戦、スコアレスドローに終わったFC東京の森重真人最終節の鳥栖戦、スコアレスドローに終わったFC東京の森重真人 2015年シーズンJリーグ最終節。FC東京は本拠地にサガン鳥栖を迎え、スコアレスドローに終わった。これによって、手が届いていたチャンピオンシップ(CS)出場を逃した(同節に勝利を収めたガンバ大阪が逆転でCSへ)。東京は、勝てばCS、という優位な条件だっただけに、選手たちの喪失感は大きかった。

 しかし、彼らはそこまでひどい試合をしたのか?

「いつもの東京らしいサッカーをしてきたな、という感じでしたね。しっかりと守って、隙があれば攻めに出るというか」

 この日、前半はベンチから試合を眺めていた鳥栖の豊田陽平は、その印象を明かしている。

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