播戸竜二が激白。劇的な昇格を決めた大宮アルディージャの舞台裏 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun

 来季は、J1での戦いが待っている。プロ18年目を迎える播戸は、今後の大宮について、どう見ているのだろうか。

「今のままやと大変やね。1段も、2段もギアを上げていかないと、1年でまた(J2に)降格することになる。大事なのは、個々の意識やと思う。例えば、アキ(家長昭博)は声を出したり、チームメイトとワイワイ話をしたりするタイプじゃないけど、この試合では気持ちが入っていたし、プレーで引っ張っていた。でも、勝てないときはそれができていなかった。それは、(キャプテンの)菊地光将をはじめ、他の選手もそう。

 要は、勝てないときにどれだけ気持ちを出して戦えるのか。そういう意識を持つリーダーみたいな選手が、ひとり、ふたりと増えて、いずれ全員がそんな意識を持てれば、チームは強くなる。その中で俺は、J1における高いレベルでの戦いや、さらに上には代表や海外という世界がある、ということを選手に伝えていきたい。もちろん、プレーでも見せたいし、プロは毎日の積み重ねが大事、ということも示していきたい。そうして、ゆくゆくはJ1の大きなシャーレが掲げられるようなクラブになればいいかな、と思っています」

 冷たい秋雨の中、滅多に泣くことのない播戸が涙を流した。その姿が、この一年間の大宮の苦悩と、それを乗り越えて手にしたモノの大きさを代弁しているようだった。

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