アジア2次予選レベルに埋没。この勝利を喜ぶ日本代表に成長はない

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 長田洋平/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 絶対に負けそうもない相手とホーム&アウェー方式で各4試合、計8試合を戦うアジアW杯2次予選。これはどう見ても真っ当な戦いではない。

 この日のシンガポール戦はその6試合目。前回ホームで引き分けているとはいえ、両者の実力と試合に占める運の割合を考えれば、引き分けの心配さえいらない、勝利を確認するための試合。消化試合と言ってもいい。

 メンバーを大きく落として臨むのが世界のスタンダードだ。どこまで落としてオッケーか。常連は3人なのか、5人なのか。相手との力関係を推し量り、馬鹿勝ちを避けようとする。競った試合になるよう、設定を工夫する。

シンガポール戦に勝利、喜びの表情を見せる日本代表シンガポール戦に勝利、喜びの表情を見せる日本代表 日本も多少は落としていた。この日はセンターフォワードに金崎夢生、中盤に柏木陽介をそれぞれ抜擢。だが、読みは甘かった。結果は3-0だが、内容的には5-0。金崎、柏木クラスをあと3人並べても、勝ち点3は楽々取れていた。

 メンバーの落とし方、テストの仕方が不十分とは、W杯アジア2次予選すべての試合について言える。もっと落としても大丈夫なのに、それができない。試合後、ハリルホジッチは「新戦力を試すことはリスクを伴う。勇気が必要だ」と、語った。そうした中で、金崎、柏木を使った自分自身を半ば自画自賛したわけだが、もっとリスクを冒しても勝てると考える僕には、弱気を隠す言葉にしか聞こえなかった。

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