カズと同じ胸中? 44歳・永井秀樹が現役を続ける「糧」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

東京ヴェルディ
永井秀樹インタビュー(後編)

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ヴェルディに対する、熱い思いを語る永井秀樹。ヴェルディに対する、熱い思いを語る永井秀樹。 なぜ、永井秀樹は44歳で現役を続けられるのか?

 それは、ひとつのミステリーである。

 2014年1月には、永井は7年ぶり5度目の東京ヴェルディ"入団"を果たしている。もし彼がプロに入った年に「君は4度もヴェルディから離れて、その都度復帰する」と予言されたら、さすがに笑って取り合わなかっただろう。その点、事実は小説よりも奇なり、である。

 もちろん、分岐点はあった。2003年に1年間浪人生活を送ったときだ。すでに32歳だった永井は、"引退"が頭をよぎっても不思議ではない年齢だった。

「あのときはヴェルディを退団して、勝手に『地元の大分(トリニータ)へ行こう』なんて考えていた。でも、実際はなかなか声がかからなくて......。そんな最中、実家に戻ったとき、自分の進路に口を出したことのない親父に、『おまえ、大分でプレーするために、何か動いているのか?』と初めて言われたんですよ。当時の自分は、『向こうが連絡するのが筋だろ』と高飛車だったんですが、『おまえから頭を下げて、社長さんに一度連絡を入れてみろ!』と親父に焚きつけられたんです。それで、思い切って電話を入れたら、『いきなり契約は無理だけど、キャンプ参加しながら』と連絡があって。だから親父の一言がなかったら、そこでサッカー人生が終わっていたかもしれない」

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