突然の「練習メニュー変更」はハリルの対アジア戦術転換か?

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ハリルホジッチ監督のトレーニングにおいて定番と言えるのが、「縦パス」と「パススピード」、「出したら前に走る」という要素が組み込まれたメニューだ。

ショートパスをつないで代表初ゴールを決めた山口蛍ショートパスをつないで代表初ゴールを決めた山口蛍 縦に並んだ複数のポールのそばに選手が立ち、「縦パス」→「落とし」→「ひとつ飛ばして縦パス」→「落とし」という流れを連続して行ない、選手は出したら前に走って、よどみなくボールと人が動くようにする。狭いエリアで行なわれるメニューもあれば、かなり広いエリアで行なわれるメニューもある。パターンやルールを少しずつ変えながら、指揮官は自らのコンセプトや哲学を選手たちに植え付けていく。

 イラク、シンガポールと対戦した6月シリーズでは、こうしたトレーニングがほとんど毎日と言っていいほど行なわれた。東アジアカップ初戦、北朝鮮戦の前日にも、狭いエリアで素早くボールを縦に入れたら自分も動き、ワンタッチでボールを動かすトレーニングが見られた。

 ところが、韓国戦の前日に、この定番メニューが見られることはなかった。

 代わって行なわれたのは、狭いエリアでショートパスや横パスを意識づけるようなトレーニングだ。北朝鮮戦から中2日で韓国戦を迎えるため、コンディション調整を第一に考えた軽いメニューだったのかもしれないが、北朝鮮戦にスタメン出場した選手たちならともかく、ベンチスタートでそこまで疲労困ぱいではない選手たちも、同じメニューに取り組んだのだ。

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