1年前はJ通算14試合2得点。武藤嘉紀、激動の365日

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi  photo by AFLO

6月特集 ブラジルW杯から1年 ~日本代表と世界はどう変わったのか?~(1)

 ブラジル・ワールドカップでの惨敗から1年――。変化の求められる日本サッカーにおいて、この1年で最も変貌を遂げた選手は、武藤嘉紀だろう。

わずか1年で日本代表の主力にまで成長した武藤嘉紀わずか1年で日本代表の主力にまで成長した武藤嘉紀 プロ1年目だった1年前、武藤は開幕スタメンの座を射止めたが、ワールドカップによるJリーグ中断までの通算成績は14試合2得点。FC東京サポーターと大学サッカーファン、一部のJリーグファンだけが知る存在だった。

 ところが、ワールドカップが終わり、Jリーグが再開されたころからゴールを量産すると、昨シーズンは33試合13得点、今シーズンはここまで15試合10得点。昨年の序盤戦は、「チャンス、怖いな。これを外したら、またみんなに言われるんだろうな......」と臆病になったこともあったが、今では、「自分の仕事は点を取ること」と公言し、ウインガーからストライカーへ、プレースタイルもメンタルも変化していった。日本代表にも選ばれ、実力と人気・知名度もぐんぐんアップし、そして今、所属クラブもステップアップしようとしている。

 5月30日にはFC東京のホーム、味の素スタジアムでドイツの中堅クラブ・マインツへの移籍を発表した。「海外でプレーする」という目標のひとつを叶えたことになる。

 もともと、「いつか海外でプレーできたらいいな」という希望を持っていた武藤が、初めて世界のトップレベルを肌で感じ、「絶対に海外でプレーしなければならない」という強い思いに駆られるキッカケとなったのは、昨年10月のブラジル戦だった。

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