アルガルベ杯。苦しんだからこそ生まれた「なでしこの新戦術」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 6月のFIFA女子ワールドカップの前哨戦であるアルガルベカップの日本の最終戦は、アイスランド(FIFAランク20位)との9-10位決定戦。佐々木則夫監督はフランス戦から有吉佐織(日テレ・ベレーザ)以外の10名を代え、選考色の強いスタメンを起用した。

今大会苦しい中でも素晴らしい動きを見せた宇津木瑠美今大会苦しい中でも素晴らしい動きを見せた宇津木瑠美 日本は開始早々ペースを手にする。被災地へのメッセージが書いてあるキャプテンマークを巻いた岩清水梓(日テレ・ベレーザ)が8分、コーナーキックのチャンスから、ファーサイドで合わせた。続く24分には、ビルドアップした有吉が強烈なシュート放ち、40分には安藤梢(1.FFCフランクフルト)からのパスをつないで、上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟レディース)の放ったシュートが左ポストを直撃。こぼれたところを有吉が再びシュートに持ち込むがDFがクリア。そのボールを今度は永里亜紗乃(1.FFCトゥルビーネ・ポツダム)が狙うも左に逸れた。集中した守備を見せたアイスランドゴールに肉薄するも、前半はゴールを割ることができなかった。

 しかし、後半頭に佐々木監督は初の布陣を試みる。大儀見優季(VfLヴォルフスブルク)、宮間あや(湯郷ベル)、宇津木瑠美(モンペリエHSC)の3枚のカードを一気に切ったのである。驚くべきは宮間のポジションが2トップの一角ということだ。

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