東日本大震災から4年。「東北人魂」小笠原満男の想い

  • 佐野美樹●取材・文・撮影 text&photo by Sano Miki

 目の前にぽつんと立つ、かまぼこ屋だった廃墟を眺めながら、鹿島アントラーズの小笠原満男はつぶやいた。

「この辺りも、あの建物の2階くらいまで水が来たんだね......」

被災地での支援活動を続ける小笠原満男。年始には宮城県名取市を訪れた被災地での支援活動を続ける小笠原満男。年始には宮城県名取市を訪れた 2015年の年始も、小笠原の姿は東日本大震災の被災地にあった。東北出身のJリーガー達が、東北地方のサッカー復興の為に震災後に発足させた団体『東北人魂』()の活動も、今春で5年目に入った。

※鹿島の小笠原満男、柴崎岳、遠藤康、ガンバ大阪の今野泰幸ら、東北六県出身の現役Jリーガー有志が設立した団体。東北地方のサッカー発展のため、東北サッカー協会及び東北各県のサッカー協会の活動へ寄与することを目的とし、各選手の所属クラブ、日本サッカー協会及びJリーグと連携しながら活動している。主な活動内容は、被災地の子どもたちのJリーグ公式戦への招待、東北地方でのサッカーイベントや大会の開催、チャリティーオークションの開催など。

 被災地のみならず、東北各地でサッカーを通して子どもたちと触れ合う活動を続けている彼らは、活動の合間に必ず行なうことがある。

 それは、震災で被害を受けた地域に直接足を運ぶことだ。この日、彼らが視察に訪れた場所は、宮城県名取市にある閖上(ゆりあげ)地区。ここは鹿島の遠藤康(仙台市出身)の夫人の実家があった場所でもある。

 選手たちを乗せたバスが閖上地区にさしかかり、窓の外に色を失った土地が現れると、少しだけ空気が張りつめる。

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