「中盤」香川真司がアジアカップでつかみたいもの

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 パレスチナに4−0、イラクに1−0と2連勝。ここまで日本代表の戦いぶりは悪くはない。得点者も遠藤保仁、岡崎慎司、本田圭佑、吉田麻也、そして本田と、バランスがとれている。得点パターンも、流れの中からあり、セットプレイありと、バラエティに富んでいる。だが、やはり寂しいのは香川真司に得点がないことではないか。今季前半戦、ドルトムントで戦っていた時と同様、オーストラリアでも香川は「得点という結果で......」と、繰り返し語っている。

イラク戦に先発フル出場した香川真司イラク戦に先発フル出場した香川真司 アギーレジャパンがスタートして以降、香川に与えられているのは4-3-3の中盤の「3」のうちの1枚、いわゆるインサイドハーフと呼ばれるポジションだ。攻撃的ではあるものの、前線の3枚を使うさばき手、パサーとしての働きも重要な役割の一つになる。

 その中盤的な動きは、香川が本来望んでいるものではないことは確かだ。また、中盤でプレイすることは、前の3枚に比べて格段に守備の負担がかかる。「守備に回ることは攻撃の負担になるのか」という質問に対して、香川は「いや、特に感じることはないですけど、もちろんやっぱり多少遅れる部分が前の選手に比べてあるので、難しさはあります」という微妙な答えを返している。負担そのものについては否定しつつも、簡単でないことは認めている。

 香川本人は、「自分はフィニッシャーである」ことに強いこだわりと自信を持っている。もちろん、彼がこれまで積み重ねて来たキャリアがそうだったからだ。セレッソ大阪でも、移籍したドルトムントでも、そしてマンチェスター・ユナイテッドでも、結果は得点という形で出してきた。

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