ガンバ遠藤保仁が語るV2「2005年のチームと違う強さ」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 だが、チームの柱である遠藤保仁は、そうした状況にあっても、それほど危機感を感じていなかった。むしろ、これからよくなると予言していた。

「今は、攻撃と守備が噛み合っていないけど、長いシーズンではそういうこともある。結果が出ていないのでネガティブに考えがちだけど、よくなる要素がないわけじゃない。(中断前最後の第14節の)FC東京戦には負けた(0-3)とはいえ、その前のヴォルティス戦(第12節/3-0)と名古屋グランパス戦(第13節/2-1)と、勝った試合は悪くなかった。(4月末から)貴史も戻ってきたし、これからでしょ」

 遠藤の読みは的中した。ブラジルW杯による中断期間が開けると、ガンバはいきなり5連勝を飾ったのだ。

 中断期間中、過去に川崎フロンターレやヴァンフォーレ甲府でプレイしていたFWパトリック(ブラジル)を獲得したことが何より大きかった。恵まれた体格の持ち主で、前線で献身的なプレイができる彼が、ガンバの攻撃に劇的な変化をもたらした。昨季も、ブラジル人FWのロチャを獲得後、2トップでコンビを組む宇佐美がゴールを量産し始めたが、パトリックはまさにロチャと同様の効果を生んだのである。遠藤が語る。

「パト(パトリック)が入ったことで、貴史が生き始めて、ふたりで崩せるシーンも増えた。(中盤の)俺らも、パトが(敵の)裏を狙ったり、しっかりとポスト役も果たしたりしてくれるんで、すごく攻撃の幅が広がった。それに、相手の深いところでプレイしてくれるんで、攻撃に深みを作ることもできた。『意外とやるな』って思ったね」

 また、長谷川健太監督が昨季から手がけてきた守備の強化が図られたことも大きかった。やや守備力に欠けるパトリックと宇佐美が2トップを組むことで、確かに中盤の守備負担は増したが、2列目に入る阿部浩之や倉田秋、大森晃太郎らが奮闘。ハードワークをいとわず、積極的なディフェンスで相手の攻撃の芽を摘んだ。加えてW杯後、今野泰幸の動きが際立ってよくなった。一時の不振から脱して、危ないところには必ず顔を出してピンチを回避した。そうして中盤の守備力が高まり、GKを含めた守りが引き締まったことで、失点が大幅に減少し、それが安定したチームのパフォーマンスにもつながった。

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