日本辛勝。得点力不足はアタッカーのせいではない

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「結果が内容を表していない試合」

 アギーレは試合後、そう語った。一方、ジャマイカのシェーファー監督は「チャンスの数で日本は上回ったが、これは我々にとって大きな問題ではない」と語った。彼は試合後、ロッカールームで選手たちに「おめでとう」とまで言ったそうだ。

 この1-0という結果をどう見るか。日本にとってはホーム戦。お互いのベストメンバーの度合いを比較すれば、日本が3-0で勝利してもおかしくない試合だ。実際、もう少し運に恵まれれば、そのような結果に終わっていたかもしれない。だが日本は、少なくとも格上という立場に相応しいプレイができていなかった。

この日は中盤の左でプレイした香川真司この日は中盤の左でプレイした香川真司 何といってもプレイに余裕が見られなかった。一生懸命プレイしていた。真剣にボールを追いかけていた。勤勉、忠実、真面目。まさに日本人らしいプレイで、ジャマイカ相手に試合を優勢に進めたことは事実だった。しかし、一本調子だった。同じリズムで抑揚なく90分間戦ってしまった。

「ボールを奪ったらできるだけ早く攻める」

 アギーレはそう指示を与えたと言うが、日本の選手は、その「早く」を、急ぐことと勘違いしてしまったような、慌ただしいプレイに終始した。物事を落ち着いて考えることができない集団。相手の裏をかけない集団。試合の流れが読めない集団と化していた。チームとして頭脳的では全くなかった。

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