【なでしこ】アジア大会2連覇に向けて、厳しい幕開け。

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

9月特集 アジア大会2014の発見!(1)

 アジア大会初戦、勝たなければならない試合だった。

 日本は中国、ヨルダン、チャイニーズ・タイペイとともにグループBに属し、初戦はグループ内で最も力が拮抗する中国との対戦となった。山形でガーナとの一戦を終えて中一日。強行スケジュールで迎えた初戦は、アジア大会2連覇へ勢いをつける内容にはならなかった。

中国勢の固い守備を前にゴールを決め切れなかった髙瀬愛実中国勢の固い守備を前にゴールを決め切れなかった髙瀬愛実  スタメンはガーナ戦と同じ顔触れ。ガーナを相手に5ゴールの大爆発を見せたメンバーだが、中国を相手にするとその攻撃力は沈黙した。もちろんこれは容易に想像できたことで、選手たちもこの状況に焦りはない。90分を通して、主導権は日本が握っていた。宮間あや(湯郷ベル)を中心に丁寧にパスをつなぎ、形を作れないときには無理をせず、最終ラインからやり直す。ボールを動かしながら、隙を突いて前線にボールを入れる。選手たちの意図は明らか。フィジカルに長(た)け、粘りと統率のある中国の守備に揺さぶりをかけたいところだった。

 大舞台でスタメンを掴んだFW増矢理花は、所属するINAC神戸でもペアを組む髙瀬愛実のサポートを受け、相手に囲まれながらも懸命に突破を試みる。両サイドの川澄奈穂美、中島依美(ともにINAC神戸)も、ドリブル、連携などパターンを変えて切り込む。攻撃の形を作っていく日本だが、最後の一本でどうしても中国の守備網に引っかかってしまう。

 こんなとき、日本がゴールをこじ開ける手段として頼るのがセットプレイだ。しかしこの頼みのセットプレイからゴールの匂いがしたのはわずかに2本。日本のゴールは遠かった。

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