香川真司や柿谷曜一朗にはない、左ウイング武藤嘉紀の武器 (3ページ目)
そこで、指揮官がある提案をする。今度のメキシコ遠征では前で起用するから、俺を納得させるプレイをしてみろ――。
武藤が今、サイドバックではなく、ウイングやFWとしてプレイしている事実が、その遠征での武藤のパフォーマンスの答えだ。当時を振り返って、倉又監督が言う。
「自分から、『ここをやらせてくれ』と言ってくる選手は少ないし、それで結果を出すのはたいしたもの。それぐらい覚悟があるなら、希望するポジションで勝負させてやりたいって逆に思いましたよね」
今季、Jリーグですでに8ゴールを奪い、代表2戦目にして初ゴールをマークした決定力、勝負強さ、スピードが、武藤の魅力なのは間違いない。その一方、サイドバックでプレイさせてみたくなるほどのフィジカルの強さや守備意識、そして走力は今も健在だ。選手ひとりひとりに守備力を求めるアギーレ監督が武藤を重宝し始めている理由は、そこにもあるはずだ。
柿谷曜一朗がいて、これから香川真司や原口元気、宇佐美貴史らも起用されることが予想される最激戦区の左ウイング――。だが、武藤嘉紀には彼らにない武器がある。
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