【なでしこ】アジアカップ初制覇の裏に、主将・宮間あやの奮闘あり

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 アジアカップ初制覇をかけたオーストラリアとの大一番。指揮官が執った策はやはり中国戦後半から試した4-2-3-1システムだった。

アジアカップ初制覇を成し遂げ、笑顔のなでしこジャパンアジアカップ初制覇を成し遂げ、笑顔のなでしこジャパン ファーストシュートは髙瀬愛実の豪快なオーバーヘッド。ここから日本の攻撃リズムが生まれ始め、宮間あやを中心にサイドへ散らす。ようやく主導権をにぎり始めた28分、左コーナーキックを得る。その少し前、23分には逆サイドからショートコーナーで相手DFを引き出す作戦を行ない、奪われてカウンターを食らっていたが、キッカー宮間のチョイスは再びショートコーナーだった。結果、宇津木瑠美がファーサイドへ上げたクロスに岩清水梓が頭で合わせて日本が先制した。

 後半に入って中盤に差し掛かると、同点に追いつきたいオーストラリアの時間が続く。それでも、日本は落ち着いていた。

 日本は65分に澤穂希に代えて菅澤優衣香を入れ、4-4-2にスイッチ。するとその3分後、試合が大きく動く。右サイドの有吉佐織からのクロスを、菅澤が胸でトラップして強烈なシュートにつなげたが、これはクロスバーを直撃してしまう。その直後のこと、オーストラリアにカウンターで一気に攻め込まれ、一度はゴールネットを揺らされるも判定はオフサイド。日本は最大のピンチを脱した。

 終始ギリギリのところで守備陣が持ちこたえる。それを支えていたのはGKの福元美穂の存在だ。オーストラリアの選手がボールを奪うと、カウンターに備えて、誰がボール保持者にプレスに行き、誰がカバーに戻るのかの指示を瞬時に出す。その声に応えて、奮闘を見せたのが川村優理だった。

 なでしこでは初のセンターバック起用。慣れないポジションに、初戦は決していい出来ではなかった。が、決勝では、最終ラインで体を投げ出し、無人の味方ゴールにこぼれそうになったボールを掻き出し、「頼もしかった」と岩清水に言わせるほど成長した姿を見せた。

「ここに残り続けたいと思った」と本人も手応えを掴んだ様子。終了のホイッスルが鳴った瞬間、DF陣は達成感の笑顔を見せた。宮間は力強いガッツポーズ。長らく追い求めてきたアジアカップのタイトルをようやく手にした。

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