これぞカルチョ。FC東京に浸透しつつあるイタリア人監督の戦術

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 FC東京が調子を上げている。

 先週末(4月19日)に行なわれたJ1第8節、ディエゴ・フォルラン、柿谷曜一朗らを擁し、高い攻撃力を誇るセレッソ大阪を完璧に封じて2-0の快勝。順位こそ12位にとどまるが、得失点差を別にして勝ち点だけで見れば勝ち点11は8位タイと、中位グループまで順位を上げてきた。

 結果だけを見ても、FC東京が上げ潮状態にあることは明らかだ。開幕戦からの4試合は2分け2敗と勝利がなかったが、最近の4試合は3勝1敗。しかも、前節は難敵セレッソを相手に内容のともなった完勝を収めているのだから、チーム状態が悪いはずはない。

 今季からFC東京を率いるマッシモ・フィッカデンティ監督もセレッソ戦後、満足げな様子でこう語っている。

今季からFC東京の指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督今季からFC東京の指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督「相手は技術的にトップクラスのチームで、非常にエモーショナルなゲームだった。選手はすばらしいプレイを見せた。今日のような試合を勝つのに必要なパフォーマンスを見せてくれた」

 今季、Jリーグ初となるイタリア人監督を新たに迎えたFC東京は、シーズン前のキャンプから模索が続いていた。

 しかも、その模索は必ずしもポジティブな意味合いのものではなかった。新監督の目指すサッカーに取り組む選手たちは、恐る恐るプレイしているようにさえ見えた。実際、MF三田啓貴はキャンプ中、こんなことを話している。

「監督が変わってひとつひとつホントに細かいので、戦術を体に染み込ませないといけない。みんな、まだ戸惑っている部分がある」

 実際、キャンプ終盤に行なわれた練習試合では、ボールサイドでプレスをかけにいきながらボールを奪い切れずに逆サイドへ展開され、ピンチを招くというシーンが何度も見られた。

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