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福田正博が考える「浦和の広島化」の問題点 (2ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ただし、ペトロビッチ監督がピッチでやることと、クラブがやることを、ある程度分けなくてはいけないだろう。毎年、元広島の選手が増えていくことで、「浦和レッズがサンフレッチェ広島になっていいのか」という論争も避けられないからだ。

「広島から来た監督と選手が、ユニフォームを浦和に着替えて広島時代と同じサッカーをやっているだけじゃないか」と言われてしまうような状況は、デメリットといえる。ずっと浦和を応援しているサポーターが、「このクラブを応援していこう」という気持ちになるのか。「サンフレッズ」と揶揄(やゆ)する人がいることもひとつの側面として受け止めなくていけない。サポーターはどこか冷めた感じになってしまうのではないだろうか。

 当然、目標はチームが優勝することだが、果たして今の「広島化」は浦和にとっていいことなのか。数年前まで広島にいた選手、つまり広島時代のペトロビッチ監督の指導を受けていた選手が、今季は合計5人になった(西川周作、李忠成、森脇良太、槙野智章、柏木陽介)。浦和生え抜きの原口元気や、広島以外のクラブから移籍してきた永田充、阿部勇樹、梅崎司、興梠慎三らもいるとはいえ、現在の浦和の「広島色」の濃さは否定できない。私の意見としては、それは必ずしもいいとは思わない。浦和レッズというクラブが何ものなのか、そのアイデンティティが見えにくくなっているからだ。

 もちろん、広島はリーグ連覇を達成した素晴らしいクラブで、森保一監督の手腕も高く評価されるべき。だが、だからといって浦和が広島を目指す必要性があるのか疑問に思うところがある。

 浦和には、これまでのクラブの歴史があり、その伝統をどう作っていくかということは、プロサッカークラブにとって大切なこと。ヨーロッパのクラブ、とくにビッグクラブであれば、「特定のクラブから毎年選手を獲得し続けるのは、クラブのためによくないのでは?」と言う幹部やスタッフが必ずいるのではないかと思う。

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