【なでしこ】アルガルベ杯、ドイツに完封負けも近年で一番の収穫

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 2年ぶりに決勝にコマを進めたアルガルベカップで、日本はドイツに0-3で破れた。ドイツの勝負強さを改めて感じた完封負けではあったが、どうやら選手たちにとって"完敗"ではなかったようだ。

今大会もキャプテンとしてなでしこを宮間あやが牽引した今大会もキャプテンとしてなでしこを宮間あやが牽引した 前半のドイツは思いのほか、落ち着いた立ち上がり。その間に日本は右サイドバックに入った有吉佐織、左サイドバックの宇津木瑠美のオーバーラップを絡めた攻撃で仕掛ける。

 28分には、右サイドから川澄奈穂美が持ち込んでそのままシュート、GKが弾いたところを大儀見優季がツメ、そのこぼれ球を澤穂稀が押し込もうとする大混戦となったが、ゴールは生まれなかった。ドイツもMFアルシとFWシャシッチのホットラインで何度も日本ゴールを脅かす。得点にはならなかったが、38分には右サイドからアルシのクロスをシャシッチがヘッドで合わせた。タイミングを完全に外された危ない場面だった。それでも中盤ではしっかりとボールを奪い、ドイツのリズムに慣れてきたところで前半を終えた。

 後半から、右サイドバックに近賀ゆかり、トップに岩渕真奈を入れ、澤を下げて宮間をボランチにスライドさせた布陣へと変更した日本。しかし後半開始直後、試合は急展開を見せた。

 クリアミスからMFケスラーに決められ、先制点を奪われるとその4分後に右サイドからアルシのクロスにMFミッタークが合わせてゴール。その後61分にもさらに追加点を奪われた。あっという間の3失点。

「相手の思うツボだった......」と悔しさをあらわにしながらも「緩んだとは思ってないです」と言い切ったのは熊谷紗希。後半からシンプルなロングボールを蹴り込んできていたドイツに対応しきれなかった。熊谷にとってドイツは1対1の強さを求めて行った、初めての海外移籍先であり、昨年までプレイしていた土地。だからこそ負けたくない思いがあった。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る