J1復帰即優勝もある。沖縄でベールを脱いだ「新生ガンバ」

  • 佐藤 俊●文 text&photo by Sato Shun

 今季J1に復帰するガンバ大阪が、順調な強化を進めている。

沖縄キャンプを行なったガンバ大阪。沖縄キャンプを行なったガンバ大阪。 1月16日から27日までは、沖縄でキャンプが行なわれた。キャンプ地の中城村のグラウンドは、選手やスタッフが絶賛するほど、非常によく手入れがなされていた。風が吹いて肌寒い日があったものの、キャンプ終盤は半袖で過ごせるほど天候に恵まれ、充実したトレーニングが消化できた。

 2002年から10年間、チームの指揮をとった西野朗監督時代は、この時期、グアムでフィジカルメニュー中心のキャンプが行なわれていた。炎天下での素走りやハードなフィジカルトレーニングで、嘔吐し、倒れ込む選手もいた。そのため、「地獄のグアムキャンプ」と呼ばれたが、そうして1年間戦う体力のベースを築いていた。

 昨季から指揮官となった長谷川健太監督も、この沖縄キャンプでは長いシーズンを乗り切るための体力作りをメインとしていた。たが、トレーニングメニューは大きく変わっていた。

 ベースになっているのは、オランダの指導者レイモンド・フェルハイエン氏が提唱する「サッカーのピリオダイゼーション(※)」という理論だ。選手が、シーズンを通してケガなく、試合で100%の力を発揮できるようにするためのトレーニングプランで、実践メニューは単純な筋トレや素走りではなく、サッカーの動きをすることで、フィジカルを鍛えるというものである。その理論を軸にして、効果的にフィジカルを高めることができる「オールアウト(余力を引き出して限界まで追い込むこと)」を採用していた。

※ピリオダイゼーション=期分け。年間のトレーニングをいくつかの段階に分けて行なうこと。

 例えば、10数分間程度、絶え間なく動き続けるミニゲームを行なう。それは、見た目以上にハードなもので、その中で体をぶつけ合い、スプリントを繰り返すことで、サッカーをするうえでのフィジカルを鍛えることができる。さらにその際、体力の限界まで出し切ることで、筋肉の回復を早め、一段と筋力アップを図ることもできるという。

 遠藤保仁は、「(このトレーニングは)理に適っているね。自分はこういう練習のほうが合っている」と語り、昨年から始めているトレーニングの効果を認めている。

 こうした練習に加え、攻撃と守備に分かれて4対3、3対3などの実践的なフォーメーション練習も行なわれた。長谷川監督は「まだ連係面や戦術面をどうこうする時期ではない。フィジカルを高めつつ、人の組合せや新しい選手の能力を見るのが、沖縄(キャンプ)でのテ-マ」と語っていたが、キャンプ終盤は2部練習を1部練習に軽減するなど、チーム作りの準備が順調に進んでいることがうかがえた。

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