なでしこの原石が光り輝いた、高校女子サッカー選手権大会

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そして、高校サッカーならではのシーンも度々見受けられた。先輩・後輩の垣根を越えた友情や、ラストゲームとなる選手たち、ケガをして出場できない選手、スタンドで声援を送る仲間たちの想い。それを真正面からサッカーにぶつける姿。長く現場に出ていると、つい忘れがちになってしまう懐かしい感情を改めて思い出させてくれる戦いの数々だった。

 現在、小学校でサッカーをしている少女たちは決して少なくない。そんな少女たちがサッカーを続けていける環境を作るためにも、中学生・高校生の女子サッカー人口を増やさなければならない。さまざまな取り組みがなされている中、今後この大会が、内外問わず、高校女子サッカー界にステイタスを感じる大会になれば、少女たちへの影響力は増大だ。

 さらにこの年代は、2020年東京オリンピックで、なでしこジャパンの主軸となっていく世代。今大会を見る限りでも、高校生チームになでしこの原石が多く潜んでいる。

 近く3月にはFIFA U-17女子ワールドカップがコスタリカで開催される。昨年のアジア予選となったAFC U-16女子アジアカップでは優勝を手にしている日本。そのメンバーには藤枝順心の杉田、児野らをはじめ、準決勝で涙を飲んだ常磐木学園の小林里歌子など、この大会で目にした選手たちが多く名を連ねた。

 今大会には高倉麻子U-16女子代表監督も視察に訪れており、その目に止まった選手も何人かいそうだ。このあと、U-17女子代表はアメリカ遠征を経て最終メンバーの絞り込みを行なう。そこからワールドカップまではもう秒読み段階。今度は同じチームの信頼できる仲間として、今大会のような熱い戦いを世界の舞台で見せてくれることだろう。

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