【高校サッカー選手権】4強対決。覚醒した京都橘・小屋松知哉に注目せよ (3ページ目)

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 中村祐介/アフロスポーツ●撮影

 もうひとつのカード、富山第一vs四日市中央工も、激戦は必至。僅差の勝負になるだろう。

 富山第一は、背番号「10」を背負うMF大塚翔(3年)を中心に、攻守にバランスのとれたチーム。攻撃では、大塚一朗監督曰く「ワンタッチでパスをつないで崩し、シュートまで持ち込んでいく」というのが持ち味だ。

 その際、圧巻のプレイを見せるのが、左サイドバックの竹澤昂樹(たけざわ・たかき/3年)。豊富な運動量で頻繁に上下動を重ね、攻撃時にはドリブル、クロスで決定機を演出する。その精度の高さは、高校レベルを超越している。

 また、1トップの渡辺仁史朗(3年)の走力にも注目だ。守備ではキックオフから猛然と相手の最終ラインにプレッシャーをかけ、攻撃では味方から出された裏へのボールに体ごと突進していってゴールに向かっていく。その勢いに相手DFも慌ててしまい、今大会も敵DFとGKの連係ミスをついてゴールを決めている。このボールに対する執着心も、富山第一の強みだ。

 一方の四日市中央工も、攻守のバランスは優れている。樋口士郎監督曰く「3年生の最終ラインが我慢して、1年生たちが攻めるチーム」だ。

 最終ラインの中心は、センターバックの坂圭祐(3年)。身長174cmと上背はないものの、跳躍力があってハイボールに強い。相手のロングボールもことごとく跳ね返して、前線につなげる。

 前線で攻撃を引っ張るのは「1年生トリオ」と呼ばれる、FW小林颯(こばやし・はやて)、MF森島司、MF木下史也の3人。後方の上級生たちが跳ね返したボールを拾って、彼らの絶妙な連係からチャンスを作る。このサイクルで、栃木県の矢板中央(3-2)、山梨県の帝京第三(2-0)、神奈川県の桐光学園(1-0)、大阪府の履正社(1-1PK6-5)と、強豪チームを次々に下してきた。

 2年前の第90回大会では、決勝で敗れて涙を飲んだ。それだけに、選手たちの目標はあくまでも「優勝」。準々決勝のあと、「この内容では(準決勝も、決勝も)絶対に勝てない。もう一回、チームを立て直してトライしたい」と樋口監督はその戦いぶりに不満をもらしたが、それが改めて選手たちの気持ちを引き締めた。

 ともに安定感のある、富山第一と四日市中央工。実力はまさに互角。勝負の決め手となるのは、勝利への執念かもしれない。

 はたして、1月13日に行なわれる決勝の舞台に立つのは、どのチームか。熾烈な戦いが予想される準決勝は見逃せない。

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