快進撃のあとは1勝15敗。大宮ファンは今、何を想う...

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 Jリーグが中断期間中の11月中旬、冬晴れの某日――。平日の午前中にもかかわらず、大宮アルディージャの練習場には熱心なサポーターたちが駆けつけていた。だが、その表情は一様に曇って見える。男性ファンに話しかけてみると、訥々(とつとつ)と語り出した。

「正直、今年のアルディージャみたいな経験をしたチームはないと思います。うちは上位争いなんて、未体験ゾーンでしたし。勝っているとき、周りに『すごいね』と言われても、何がすごいのかよくわからなかった。今はある意味、定位置です......。1年中、戸惑いどおしですよ(苦笑)」

 そう話した内山さん(48歳)は、大宮が1999年にJ2参入を果たしたころからのサポーターだ。今季はかつてない激動の1年で、「評価が難しい」という。

11月10日の甲府戦で大宮のゴール裏に掲げられた横断幕「悔いなく闘ってくれ」11月10日の甲府戦で大宮のゴール裏に掲げられた横断幕「悔いなく闘ってくれ」
 例年はシーズン途中まで下位に沈みながら、終盤に降格を免れる戦いを繰り返してきた。だが、今季の軌跡は、あたかもジェットコースターに乗っているかのような激しさだ。

 昨季(第24節)からの無敗記録を続けたまま、今季の開幕を迎え、4月20日(第7節)に浦和レッズを下して18戦連続無敗のJリーグ新記録を樹立。同26日には敵地で柏レイソルを4対0で粉砕し、第8節を終えて単独首位に浮上する。5月6日(第10節)のサンフレッチェ広島戦でクラブ新記録の7連勝を飾って無敗試合を21に伸ばすと、海外メディアからも取材問い合わせが殺到した。

 だが、ジメジメした夏場を迎え、無敵だった大宮は垂直落下していく。

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