ザッケローニの3-4-3が機能しない理由 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 ただし4-2-3-1を採用するスペインと戦った準々決勝では、布陣を元の4-2-3-1にして戦っている。3-4-3(3-3-3-1)を採用した試合でも、布陣は状況に応じて4-2-3-1に変化した。二つの布陣をいとも簡単に使い分けたのだ。

中盤ダイヤモンド型の3-4-3は4-2-3-1から移行しやすい中盤ダイヤモンド型の3-4-3は4-2-3-1から移行しやすい 4-2-3-1と3-3-3-1。両布陣が親戚関係にあることは、この4列表記を見ただけでも分かる。例えば右のサイドバックを一列高い位置に上げれば、4-2-3-1は3-3-3-1に変化する。移行は微調整で実現したのだ。

 そのテクニックがザッケローニにはない。ザッケローニの頭にある3-4-3は中盤フラット型のみ。3-4-3の「4」の両サイドが最終ラインに取り込まれやすく、かつ「4」の真ん中を務めるセンターハーフが守備的MFの役割から脱せずにいるため、気がつけば「7−3」とも言うべき布陣になってしまう。

 ヒディンクがもし日本代表監督なら絶対にそうなっていないはずだ。3-4-3と4-2-3-1は、現状の百倍、良好な関係になっていたと断言できる。むしろ日本の武器になっていた。

 ザッケローニがどうしても自分の3-4-3をやりたいのなら、まず4-4-2にトライせよ。中盤フラット型4-4-2がチームに浸透しない限り、彼の3-4-3は絶対に成功しないと僕は思う。

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