首位奪回。「オヤジ軍団」横浜FMが見せた広島との違い

  • 益田佑一、佐野美樹●撮影 photo by Masuda Yuichi,Sano Miki

名波浩の視点

 Jリーグ第29節では勝ち点53で並ぶ、首位サンフレッチェ広島と2位の横浜F・マリノスが対戦。ホームのF・マリノスが1-0で快勝して、首位に返り咲いた。

齋藤学のゴールで勝利を飾った横浜F・マリノス。齋藤学のゴールで勝利を飾った横浜F・マリノス。
「天王山」というビッグマッチゆえ、ともに相手の出方をうかがうような形で、立ち上がりは落ち着いていた。特にF・マリノスは、2列目のMF兵藤慎剛が負傷して戦列を離れ、左サイドバックのドゥトラが累積警告で出場停止と、ふたりの主力を欠いていた分、慌てずにゲームに入っていこうという意識が高かった。前半は0-0でもいい、といったスタンスでやや抑え気味に戦っていた。

 そのため、前半から主導権を握って、多くのチャンスを作ったのは、サンフレッチェだった。後半に入っても、F・マリノスの一瞬の隙をついて、決定機を何度も作っていたが、後半10分にゴールを奪ったF・マリノスが1-0で勝利。全体を振り返って見れば、「F・マリノスの選手は試合巧者で、こっちのリズムで戦っていても、いつの間にかF・マリノスのペースになっている」と、試合前にサンフレッチェの選手が警戒していたとおりのゲームになった。

 ゲームを作る選手、そして点を取る選手がしっかりいて、その攻撃の迫力や、攻撃から守備への修正の速さなど、表面的に見た両チームの実力の高さはそれほど変わらない。だが、決定的に違うのは、サンフレッチェの選手も認識している、試合運びの巧さ。そこは、F・マリノスのほうが勝っていて、その差が結果に表われた。

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