ナイジェリア戦。初のボランチコンビで澤も宮間もなでしこも復活 (2ページ目)

  • 早草紀子●文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 相棒を務めた宮間も、3連覇を逃した東アジアカップでの苦い思いから「まずは自分から変わる」と、自他共に一切の妥協を許さない、これまで以上に強い姿勢で臨んだ。澤とのバランスを見ながら、大儀見の先制点をアシスト。宮間―大儀見のホットラインは今や最大のなでしこの得点源となっている。

「このコンビネーションは世界のどこのチームと戦っても破らせないものにしたい」と宮間。そのためには宮間が最高のラストパスを出せる状況になければならない。この日のナイジェリアはプレスも甘く、足は早々に止まり始めた。宮間は自由にプレイをさせてもらえたが、すべて承知の上で「この展開だからこそすべきチャレンジ」(宮間)をタイミングを見極めながら的確に散りばめた。ここが東アジアカップと大きく異なる点だ。

 そしてようやく若い力も芽吹き始めた。センターバックに大抜擢された三宅史織だ。JFAアカデミー福島で学ぶ一方、この夏、特別指定選手として強豪軍団であるINAC神戸レオネッサでプレイする17歳。立ち上がりこそ緊張の色が濃かったが、その安定感と積極性を兼ね備えた守備でナイジェリアをねじ伏せた三宅。しかし、昨年のU-17女子ワールドカップでは、初めての世界大会の緊張で自分のプレイを貫けず、自らの未熟さを痛感した。あの悔し涙から1年、三宅は大きく成長した。

 59分のワンシーン。ナイジェリアの1トップである182cmの長身ウチェチ・サンデーの突破を阻止した三宅。そのこぼれ球を追うサンデーに再びスライディングで対抗、ラインを割りかけたボールを身体を目一杯使ってキープすると、すぐさま前線のフィードにつなげた。一切の"迷い"も、その場限りの"逃げ"も見せなかったその一連のプレイは若い蕾(つぼみ)の大いなる可能性を感じさせた。本人は「ミスもあったし、まだまだ」としながらも、「無失点は自信になった」と手応えを口にする。

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