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吉田麻也「自分も、チームも、やっと一歩前に踏み出せた」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 吉田には、チームの守備の修正とともに、もうひとつやるべきことがあった。自身のコンディション作りである。プレミアリーグ開幕後、所属するサウサンプトンでは、2試合連続のベンチ外。3戦目にやっとベンチ入りしたものの、出場機会はなかった。

「90分間プレイしたのは、今季(代表の)2試合しかありませんけど、ガーナ戦のときのコンディションはすごく良かった。(ザッケローニ)監督からも、『ベネ(イタリア語で“良い”という意味)』って言われました。でも、もっとレベルを上げていかなければいけない。今までの自分の良かったときよりも、さらに進化していかないといけないと思っています」

 マンチェスター・ユナイテッドで出場機会を得られていない香川真司同様、吉田にとっては、所属クラブに戻ってから本当の戦いが始まる。ともあれ、代表で2試合フル出場できたことは、大きかったはずだ。それに、強豪相手ではなかったとはいえ、チームは連敗を止めて、2試合で1失点という結果を残した。少なくとも、失いかけていた自信を取り戻すきっかけにはなったのではないだろうか。

「まあ、前進はしたと思います。コンちゃん(今野)とも話をしましたけど、これからはもっと自信を持って自分のパフォーマンスを発揮できるように、お互いに信頼し合ってやっていけるようにしていきたい。そういう意味では、今度の欧州遠征で強い相手とやって、そこでもいい形を残して、より(守備を)高めていきたいですね」

 安定した守備の完全復活は、10月の欧州遠征に持ち越しとなった。だが、吉田の表情からは、何らかの手応えを得て、自信をつかんだ様子がうかがえた。

最後に、吉田に聞いた。
――全体的な守備の意識の高さは、みんなの危機感の表れだったのか?

「それもあります。でも、監督が今回の合宿で、練習からチーム全体の守備の意識を高めてくれた成果だと思います」

 吉田はそう言って、初めてホッとしたような表情を見せた。

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