香川・遠藤の交代。ザッケローニが言う「計画通り」は本当か (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

 本田は言うまでもなくこのチームの中心だ。ザックジャパンならぬ本田ジャパンとは、僕がこれまで、何度となく使ってきたフレーズだ。理由は、良くも悪くもザッケローニより絶対的な存在に見えるからだ。

 それに続く選手との差も大きい。グアテマラ戦の前半は、それが証明された時間帯だった。

 香川真司、遠藤保仁、長谷部誠、今野泰幸。ポジション的な意味合いも含めて、現在の代表で次にランクされる主役級はこの4人。今野はこの日スタメンではなかったので、本田不在の中、残る3人がどの程度リーダーシップを発揮するかも、この試合のポイントだった。

 4-2-3-1の1トップ下。中でも従来の本田のポジションに起用された香川は、注目される立場にあった。

  香川はかねてから1トップ下でプレイしたがっていた。そうした素振りを見せていた。「3」の左で起用されても、こらえきれず1トップ下付近に頻繁に侵入。センターフォワードで起用される選手と本田と3人で、真ん中の狭いエリアで接近したポジションを取っていた。それがチームのバランスを崩す大きな原因 になっていた。

 サイドは不得手。苦手です、居心地が悪いので真ん中でプレイします、という彼の声が聞こえてくるようだった。活躍できない原因はポジションにあり。そう言いたそうにプレイしていた。

 グアテマラ戦は、念願が叶ったわけだ。活躍するための条件は整っていた。

 所属のマンチェスター・ユナイテッドでは今季これまで出場機会なし。懐疑的な声が囁(ささや)かれる中で迎えたこの試合は、名誉挽回を図るにはまたとない機会だった。

 ところが彼のプレイは冴えなかった。心配になるくらい酷かった。背番号10に相応しいスペシャルなプレイはゼロ。エース級の貫禄などどこにも拝むことができなかった。

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