鈴木大輔(柏)が語る「CBとして代表で守ることの面白さ」
連載・ブラジルW杯を狙う刺客たち(6)~鈴木大輔(柏レイソル)
「自分は客観的に物事を見る方というか、たぶん、疑い深いんだと思います」
東アジア杯で代表デビューを果たした鈴木大輔(柏レイソル) 鈴木大輔(柏レイソル、23歳)は落ち着いた話し方をする。老成しているのか、対話においては猜疑心の強さも感じさせるが、そこに狷介(けんかい)さはなく、陰気でもない。生来的に思慮深い青年なのだろう。ただ、熱っぽいタイプが多いサッカー選手たちに混ざると、どこか大人びた印象がある。
「失点シーンを振り返るのは結果論の面もあるんです。でもディフェンダーとしては、"同じようにやられないように"とは常に考えていますね。飛び込みすぎて入れ替わられた、寄り過ぎちゃった、とか、敵や味方との間合いには気をつけています。距離感はすごく大事。そこでの判断の積み重ねが結果に大きく作用してきますから。なので、試合が終わると、頭が疲れていますね」
鈴木は冷然として言う。守ることを任務とする守備者たちは、「引き算」の試合を求められる。基本的に失点を防ぐことが役割である彼らにとって、ビルドアップのミスやクリアのしくじりが、そのまま失点に直結する。失点すれば、彼らは容赦なく戦犯の烙印を押される。なんとか次のピンチを防ぎ、あまつさえ攻撃に貢献したとしても、そのミスの烙印はなかなか消えない。
引き算が前提である以上、楽観的な性格ではとてもやっていけないのだ。
「まあ、『センターバックっぽい性格だな』とは周りに言われますし、自分でもそう思いますね」
鈴木は若さに似合わない低い声でそう言って、居住まいを正した。
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