日本代表主将・長谷部誠の激白。「もはや戦い方を再考すべき」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「自分は、(チームの)守備の仕方が悪いというより、(失点は)個人のミスが原因かな、と思います。そうした(個人の)ミスは、これまでもW杯予選などで見られていたんですが、アジアレベルや、日本よりちょっと上のレベルのチームならば、(ミスを)見逃してもらえるというか、大事には至らなかった。でも、コンフェデに出てくる国や今回のウルグアイのような、世界トップクラスのチームは、(ミスを)見逃さない。そういうレベルのチームには、どんな組織立った守備ができていても、(個人が)ミスを重ねたらやられてしまう。今はとにかく、個々の選手がミスを少なくしていくこと以外、失点を少なくする手段はないかな、と思っています」

 4失点という結果が示すように、ふたつ目の重要なミッションも、今回は果たせなかったわけだ。

 このウルグアイ戦で長谷部は、コンフェデからのチームとしての成長を、何か感じることができたのだろうか。

「う~ん……、それは難しいですね。少なくとも、守備の部分では(チーム全体が)自信を失っている。ネガティブになっていますね。コンフェデからの悪い流れを修正することができなかったんで……。やっぱり、相手にこれだけ点を取られて、多くのチャンスを作られると、『何が悪いんだろう』とみんなが考え込んでしまう。それで、トップレベルの相手には『自分たちの守備は通用しないんだな』と思ったりすると、(相手へのチェックやプレスも)思い切っていけなくなってしまう。そうなると、攻撃にも(悪い)影響が出てしまう。チャンスは作れているけど、決められないし……。その課題が、ウルグアイ相手にも出てしまったので……、厳しいですね」

 コンフェデにおける守備の崩壊で、攻守のバランスを欠いてしまった日本代表。低空飛行が続く現状で、長谷部はチームの完成度をどう見ているのか。

「今は、チームとして難しい時期に来ているのかな、と思います。(ザッケローニ監督になって)これまで3年間やってきて、これだけ短期間の間に、世界のトップレベルのチームと何試合も対戦する機会はなかった。それでも『(最初は)やれるかな』と思っていたけど、実際に戦ってみると、失点を重ねて勝てなかった。選手それぞれ、コンフェデからの連敗をどう捉えているのかわからないですけど、自分は、チームとしての戦い方というか、(全体の)バランスをもう一度、考えるべきかなと思う。これまでは、相手に3点、4点取られても、『自分たちの攻撃的なサッカーを貫こう』とやってきたけど、それをやり過ぎてしまうと、守備がおろそかになって、失点が増えてしまう。それでは、世界のトップレベルには勝てない。攻撃に偏るんじゃなくて、攻守のバランスを考えてやっていくことが大事かな、と思います」

 ザッケローニ監督が就任して以来、攻撃的なサッカーで勝利を狙うスタイルの確立を目指してきた。アジアでは、そのサッカーを披露して、結果を出すこともできた。だが、世界のトップレベル相手には通用しなかった。

 その事実を踏まえて、9月の親善試合2試合(9月6日vsグアテマラ、9月10日vsガーナ)は、どんな編成で臨み、課題の守備はどう修正していくのか。ザックジャパンは今、正念場を迎えている。

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