ザックJは新たな代表候補の発掘をやめるべきではない

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Fujita Masato

 また、田口泰士(22歳、名古屋グランパス)はブラジルW杯には間に合わないとしても、覚えておくべきプレイメーカーだろう。ストイコビッチ監督は「日本のシャビ」と喩(たと)えたが、バルサ下部組織にいそうな空気を持つ。自分の視界に映る、敵、見方の態勢、ボールの流れを一瞬にして見極め、最善の判断ができる。サッカーIQが高い。だからインターセプトに冴えを見せるだけでなく、ラストプレイにも自然体で関与できる。

 そして現代表で気になるのは、ボランチより後ろに左利きの選手が稀少な点だ。

 列強の代表は左CB、左SB、ボランチに一人ずつは左利きの選手を擁している。例えばコンフェデ杯優勝のブラジルは、CBのダンテ、左SBのマルセロ、フェリペ・ルイス、ボランチのルイス・グスタボがレフティーだった。現在の日本代表で左利きのCB、SBはゼロ、ボランチにようやく扇原貴宏がいるのみ。左利き選手は単純にプレイリズムを変えられ、プレイスペースも広げられるだけに、最後まで人材発掘を怠るべきではない。

 2013年に入ってから風当たりの強くなったザッケローニ監督だが、戦闘集団のベースを作った仕事は高く評価できる。ただ列強国と比較すれば、現状に甘んじられるほど強くなってもいない。W杯まで1年足らず、問われるのはプレイの質向上&戦力アップ。東アジア杯以後も、継続してJリーグ(海外の人材を含め)のスカウティングをする必要があるだろう。

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