東アジア杯で韓国に大苦戦した理由を誰も追及しないのはなぜか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Fujita Masato

 東アジア杯日韓戦。内容と結果がこれほどまで一致しない試合も珍しい。終始押されっぱなしにもかかわらず、日本は勝った。宿敵相手に痛快な勝利を収めた。逆転弾が決まったのは後半のロスタイム。劇的な勝利でもあった。

劣勢の中で2ゴールを決め、勝利の立役者となった柿谷曜一朗劣勢の中で2ゴールを決め、勝利の立役者となった柿谷曜一朗 2ゴールを叩き出したのは日本期待の星。柿谷曜一朗というヒーローが誕生したことも、喜びに輪を掛ける。W杯までラスト1年を迎え、例によって閉塞感に襲われ始めたファンにとって、これは朗報だ。コンフェデ杯で3連敗したつい1ヵ月前の話は、もはや忘れられようとしている。

 次回の代表戦に招集される選手は誰かという話は、あくまでも内輪の順位争いだ。本論とは言い難い。それで盛り上がろうとする姿は内向きだ。次のセンター候補が誰なのかとAKBの総選挙に関心を寄せる姿に似ている。

 そしてうっかりしていると、この韓国戦の試合内容まで忘れ去られようとしている。少なくとも、その最悪だった試合内容について触れられている記事やニュースを、見かけることはほとんどない。
 
 そこにバランスの悪さを感じる。悪いところには目をつぶり、都合のよい話だけをしたがっている。勝てば官軍とばかり、万々歳したがる姿は、あまり格好のいいものではない。 

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