東アジア3連覇を逃したなでしこが、今、戻るべき原点

  • 早草紀子●取材・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

2008年のアジアカップ以来、韓国に5年ぶりの負けを喫した2008年のアジアカップ以来、韓国に5年ぶりの負けを喫した サッカーの世界で勝負をモノにするためには、選手たちになくてはならないものが幾つもある。テクニック、フィジカル、メンタル、戦術、経験、執念、欲望、運......。この日の韓国の選手たちの元には、なでしこたちが持つ要素より多くのものが備わっていた。2連敗で、気持ちが切れそうになる韓国チームを根底で支えたのは「日本に勝ちたい」(チ・ソヨン)という強い想い。そんな韓国を相手に、1-2で敗北を喫したと同時に3連覇を逃したことは、妥当な結果だと言わざるを得ない。

 前半と後半では全く別の試合のようだった。先に行なわれた試合で、北朝鮮が1-0で中国を下していたことから、日本の3連覇の条件は勝利のみ。中1日という強行スケジュールのため、佐々木則夫監督は第2戦から5人を入れ替えて臨んだ。これまで終盤のわずかな時間しか出場機会のなかった岩渕真奈をトップに入れ、ボランチに田中明日菜、右サイドバックに中島依美、左サイドバックに上尾野辺めぐみ、左サイドハーフに安藤梢を起用した。

 浮き足立った日本は、互いのイメージが全くかみ合わず、パスミスを連発。相手へのプレッシングも遅れがちになった。仕掛けはするが崩すことは叶わず、すべてが韓国の守備網に引っ掛かる。対する韓国は、序盤から高い集中力で日本の攻撃陣をシャットアウトした。先制は前半14分に韓国。右ペナルティ付近で得たFKをINAC神戸でプレイするチ・ソヨンがゴール右上の絶妙な角度を突いたゴールだった。

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