まだ遅くない。W杯で結果を求めるならば、監督交代が最適な手段

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 W杯で上を目指すことを考えれば、今のチーム力をわずかに上げるくらいではどうにもならない。圧倒的なレベルアップなくして、結果が出せないことは、コンフェデで誰もがわかったはずだ。ならば、チームは劇的に変化しなければいけない。残り1年で選手が急激にうまくなるわけがないのだから、その可能性があるのは、監督を代えることしかない。W杯での実績がある監督はいくらでも余っているのだから、なおさらだ。

 監督を代えれば、メディアの露出が増える。世論が注目する。選手が入れ替わり、不動のメンバーは焦る。結果、チームに競争が生まれる。そこには、ものすごく大きなエネルギーが発生するだろう。もしその力がうまく爆発すれば、チームがいい方向に変わる可能性は十分にある。

 東アジアカップでは、すでにザッケローニ監督が指揮を執ることが決まっているが、それが終わってからでも監督交代は遅くない。結果を求められるのは、代表の宿命ゆえ、東アジアカップで優勝できなければ、即決断すべきだ。

 日本代表の体たらくは、メディアにも責任がある。2011年アジアカップで優勝したときも、延長戦やPK戦などをこなして、やっとのことで勝ち上がったのに、日本がものすごく強いチームであるかのように報道された。その後のW杯予選でも、過去のW杯予選以上に敗戦を喫しているのに(1993年アメリカW杯予選以降、3敗したのは最多)、「最強チーム」と称されてきた。選手やファンが勘違いしても仕方がない。

 さらに「海外組」をブランド化した。まるでチームの中心で、スター選手のように扱ってきた。おかげで、日本代表の試合はアイドルのコンサートのような盛り上がりを見せたが、勝つか、負けるか、といった真剣ムードは一切なくなってしまった。今や、日本代表の試合にファンがブーイングし、選手に水をかけたり、卵を投げたり、本気で勝利をうながすようなこともなくなった。

 このままではいけない。メディアが世論を動かし、監督、選手にプレッシャーをかけなければいけない。そうやって危機感を募らせることで、チームは強くなっていくのだ。東アジアカップでは、そうした報道を大いに期待したい。そうすれば、何かが変わるかもしれない。

 何はともあれ、もし今の状況が続くようなら、大会直前にわずかな頼みの綱にまたもすがるしかないだろう。“恒例”となった、選手だけのミーティングというものに……。

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