再開したJ1で次期代表候補が躍動。
ザックジャパン下剋上が始まった

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by Getty Images

 FW前田遼一やMF中村憲剛、DF栗原勇蔵、GK西川周作といったすでに代表入りしているJリーグの選手に加え、フレッシュな顔ぶれが数多く呼ばれることが予想されるなか、「いい若手が育っている」という指揮官の言葉もあって、注目を集めているのは、「ロンドン五輪世代」と言われる現在24歳以下の選手たちだ。

 その先陣を切るように、5月30日のブルガリア戦と6月4日のオーストラリア戦に招集されたのが、FC東京のMF東慶悟と柏レイソルのFW工藤壮人だった。

 東は、トップ下から飛び出してフィニッシュを狙い、前線からのプレスも厭(いと)わず、周囲とのコンビネーションで輝くこともできる。彼が選出されたという点に、指揮官の求める攻撃的MF像のヒントがありそうだ。

 前線で体を張れる力強さとサイドハーフもこなす器用さを併せ持つ工藤は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で5得点をマーク。国際舞台での実績という点でも心強い。6日のアルビレックス新潟戦でもゴールを奪い、再選出へのアピールに余念がない。

 また、メディアが行なう「日本代表に選ばれてほしい選手アンケート」で1位に輝くことが多いのが、セレッソ大阪のFW柿谷曜一朗だ。トラップからシュートに持ち込む一連の流れは嘆息してしまうほどスムーズで鮮やか。随所で垣間見せるセンスと正確なフィニッシュには「一度、代表で見たい」と思わせるだけの魅力がある。

 6日、等々力陸上競技場で行なわれた川崎フロンターレ対鹿島アントラーズ戦(4-2で川崎が勝利)にも、注目の若手がいた。鹿島のMF柴崎岳とFW大迫勇也だ。

 常に先行を許す苦しい展開のなか、柴崎はDFとFWをリンクさせようとバランスを取りながら、ときにゴール前まで顔を出し、危険な選手であり続けようとした。右サイドに顔を出すことが多かった点にも、戦術上、守備的なタイプをサイドバックに起用した右サイドを、なんとか機能させようとする狙いを感じさせた。

 試合後、柴崎は「相手は最初からカウンターを狙っていたから、もっと早い時点で対処すべきだった。前から行くだけでなく、時に引いたり、遅らせたりして対処すれば、違っていたと思う」と、術中にハマったことを悔やんでいたが、このコメントからも戦術理解度の高さがうかがえる。

 一方、大迫はチーム最多となる5本のシュートを放ち、38分にはジュニーニョのクロスに合わせて今季7ゴール目をマーク。くさびのパスをワンタッチでさばくポストワークはこの日も冴えており、代表のワントップを務める力があることを証明した。

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