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名波浩が斬る「今の日本代表に『W杯優勝』なんてできない」 (3ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 特に最近は、対戦相手が日本のことをよく研究している。W杯予選で負けたヨルダン(3月26日、1-2で敗戦)にしても、この日のオーストラリアにしても、テストマッチで対戦したブルガリアもそうだった。そういう相手を迎えたときこそ、普段やらないことをもっとやるべきだ。

 自由な動きが認められている中、意図的にスペースを空けるとか、意図的に長い距離を走るとか、意図的にサイドを変えるとか、劇的に局面を変える動きやプレイをさらに意識して、実践していくべきだろう。例えば、ストロングポイントである左サイドからの仕掛けを、あえて突破することだけに使って、本田や香川が右サイドに流れて組み立ててもいい。岡崎がダイアゴナルランで、右サイドから左サイドまで抜けていって、チャンスをうかがってもいい。「W杯で優勝する」と言っているわけだから、いつもと違う戦い方をチームの"色"として持ち合わせていくことも、今後は必要になる。

 守備に関しては、それほど大きな問題は抱えていないと思う。中盤のプレッシャーはよくできているし、各選手のボールアプローチも速い。たとえ相手に突破されても、ひとりひとりの帰陣が速く、次のブロック、そしてまた次のブロックと、守備ゾーンがすぐに作れているのも強みだ。そうした対応をこのまま続けて、さらに精度を上げていくことが大事だろう。

 何はともあれ、1年後のW杯本大会に向けて、チームとしてはさらなる上積みを図っていかなければいけない。今回のW杯最終予選に関しても、最初が2試合連続のホーム戦という、レギュレーションの恩恵を受けた。要するに、日本は決して圧倒的な力を持っているわけではないのだ。そのことを自覚して、個々の選手はもちろんのこと、チームとしてもあらゆる面に肉付けして、レベルアップしなければいけない。この1年、W杯で優勝を目指すチームの覚悟を見せてほしい。

著者プロフィール

  • 名波 浩

    名波 浩 (ななみ・ひろし)

    1972年11月28日生まれ。静岡県藤枝市出身。1995年、ジュビロ磐田に入団し一時代を築く。日本代表では10番を背負い初のW杯出場に貢献した。引退後は、ジュビロ磐田のアドバイザーを務めるとともに、テレビ朝日『やべっちF.C.』などサッカー解説者として活躍

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