なぜザッケローニは今「3-4-3」を試すのか? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 そして、ふたつ目が「3-4-3の試行」である。

 ザッケローニ監督は「(3-4-3が)必要になる試合が出てくるかもしれないので、オプションとして持つこと」を目的に、今回のキャンプでは「トレーニングに組み込んできた」ことを明かす。

 それにしても、なぜ今、3-4-3なのか。

 ザッケローニ監督にとって3-4-3は、いわば伝家の宝刀。ウディネーゼでの監督時代を筆頭に、イタリアで指揮を執っていたころはこのフォーメーションを武器にしてきた。

 当然、日本代表でも採用すべく、過去に何度か試行されてきたが、いずれも成功したとは言い難い。事実、最近では手つかずの状態が続き、その存在自体が過去のものとなりつつあった。

 にもかかわらず、ここでまたもトライしようというのである。

 理由のひとつには、世界戦略上不可欠だという判断があるのだろう。コンフェデはもちろんのこと、来年にはワールドカップ・ブラジル大会も控えているだけに、自らが最も得意とする武器を手にしておきたいと考えるのは、何ら不思議なことではない。

 しかし、やや唐突な印象さえ受ける「3-4-3の復活」は、むしろ本田圭佑不在時の不安を解消したいというのが最大の理由なのではないか、と推測する。

 つまりは、1-2で敗れた先のヨルダン戦で、本田抜きで「4-2-3-1」を機能させることは難しいと判断したのではないか、ということだ。

 日本代表が主に用いてきた4-2-3-1の場合、選手の配置上、トップ下の働きが前線の選手、さらにはボランチをも有機的に結びつけるカギとなるが、身体能力に優れ、独力でボールをキープできる本田がいなくなると、その結びつきが弱くなってしまうというのが現状だ。結果、攻撃に厚みが生まれず、ゴールが遠のくという現象が起きている。

 その一方で3-4-3であれば、中盤から前線にかけて、特にサイドの人数を増やすことになり、攻撃の厚みを生み出すことができる。

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