【なでしこ】各選手が全力アピール。合同合宿で躍動した期待の新戦力たち (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Hayakusa Noriko

 U-19の最年長で、各年代のW杯出場経験があり、キャプテンに任命された猶本は、トレーニングでは積極的に周囲に声をかけるなど、リーダーシップを発揮。最終目標はもちろんなでしこジャパン入りだが、「来年はU-20ワールドカップに出場して金メダルを取ることが目標。まずはしっかりチームの中心として試合に出て活躍できるように頑張りたい」と話す。

 この世代を指導している吉田弘監督はチームの方向性について、「融合とか団結といった点では、日本人は試合になればある程度できると思っているので、それよりも個人のレベル、個人の思いを膨らませてあげたい。同時に、切り替えの速さなど、なでしこで必要とされる部分をうまく選手達に伝えていかなければいけないと思っています」と、これまでのコンセプトを継続しつつ、なでしこジャパンへの引き上げも視野に入れる。

 合宿では「日本人のあまり得意としていない部分である、自分の強い気持ちをもっともっと表現して、アピールしてほしい」と、選手の積極的な姿勢に期待した。

 また、U-19とU-16の合同で行なった体力テスト(シャトルラン)では清水梨紗(ベレーザ)がU-19年代で2年連続のスタミナ1位に輝き注目を集めた。小学生時代はFWだったが、メニーナでその体力とスピードを買われてサイドMFとSBにコンバートされた清水。159cm・43kgと華奢にも見えるその身体に秘められた無尽蔵のスタミナと負けん気は、ポスト近賀ゆかりに相応しい存在だろう。

 一番下のカテゴリーに当たるU-16日本女子代表では、昨年までU-15女子日本代表監督を務めた高倉麻子氏が新監督に就任し、W杯出場を目指す日本代表チームでは初の女性監督となった。

 高倉監督はこの年代の印象と、チームの方向性についてこう話す。

「なでしこジャパンが2011年にワールドカップで優勝して、ロンドンオリンピックで銀メダル獲得というのを間近に感じている世代。もちろん日本女子サッカー界もレベルが上がって来ているなかで育ってきた選手達なので、メンタルはまだまだですけれども、技術的には非常にいいものを持っている印象です。個で突破する力は引き継ぎながら、日本らしい、(パスを)回すところの質も上げていきたいなと思っています」

 今回の合同合宿ではなでしこジャパンの選手と一緒にプレイをする機会もあり、若い選手達はそのハイレベルなプレイに目を輝かせた。

 新たなスタートを切ったなでしこジャパンは、若手も含め有望な選手が多く、今後が楽しみだ。この中から、次のスターは生まれてくるのか。アルガルベカップに選ばれる23名の発表に注目したい。
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