【名波浩の視点】4位に浮上した清水のサッカーが劇的に変わった

  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「静岡ダービー」で攻守に活躍したエスパルスの村松大輔(写真左)。「静岡ダービー」で攻守に活躍したエスパルスの村松大輔(写真左)。 Jリーグ第28節、ジュビロ磐田と清水エスパルスの「静岡ダービー」は、1-0でエスパルスが勝利。勝ち点を44として4位に浮上した。

 エスパルスは、この試合のマン・オブ・ザ・マッチと言える村松大輔と杉山浩太の両ボランチの活躍が光った。お互いに守備の出入りを頻繁にこなして、相手へのチェックが間に合わないと思えば、素早く横へスライドして対応。それぞれが危険察知能力というものを十分に生かし、守備面では彼らの働きが本当に大きかった。

 結果、決勝点となる先制ゴールも村松の守備から生まれた。ジュビロとしては、エスパルスの守備の要であるボランチふたりを誘い出して展開しようという意図のある横パスをつないでいたのだが、村松がそのボールを巧みに奪取。村松は味方にボールを預けると、そのままトップスピードで前線へ上がっていった。そして、右サイドの大前元紀からのクロスを待ち構えながらも、ボールがMF八反田康平の頭をかすめて左サイドに流れると、さらにゴール前まで詰めて、左サイドの河井陽介からの折り返しをダイレクトで決めた。得点に絡んだ4人は同い年で、彼らが連動して生まれたゴールは、今のエスパルスのストロングポイントをよく表していたように思う。

 この虎の子の1点で勝利を飾ったエスパルスは、とにかく守備への意識が高かった。前節のベガルタ仙台戦(3-1でエスパルスが勝利)では決してアグレッシブなイメージはなかったものの、この試合では選手全員がまずはスターティングポジションから守備をしよう、という姿勢を整えていた。そのうえで、ジュビロ中盤の山田大記や松浦拓弥、さらにボランチのロドリゴ・ソウトや小林裕紀にまで、かなり激しく踏み込んできていた。

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