【なでしこジャパン】ストロングポイントになりつつある守備陣とGK福元美穂 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Hayakusa Noriko/JMPA

 7月11日に国内で行なわれた最終戦、オーストラリア戦でゴールマウスを守ったのは福元美穂だった。その際、佐々木則夫監督は「欧州入りしてからの最終戦で起用する選手が本番の選手。まだふたりともに可能性がある」と語っていた。

 ポジションを争う海堀あゆみは代表選手の多くが所属するINACのゴールを守り、W杯時の正守護神でもあった。海外メディアからも高い評価を得た。だが、佐々木の目には、ここ1年のプレイが「W杯であれだけ良いプレイをしていたのに最近は成長が止まっている」と映ったようだ。今季のリーグ戦では、彼女らしくない軽卒なミスもあった。

 一方の福元に関しては「いい準備をしている。(一旦代表正GKを外れたが)大きくなって戻ってきた」と評価する。

 結局、19日の強化試合フランス戦では福元が守り、今に至っている。福元には安定感があるほか、声で味方を引っ張ることもできる。強豪相手に苦しい場面も予想される五輪では、そんなところも評価されたに違いない。

その福元は言う。

「今は試合に出ているけれど次にどうなるかわからない。いつでも試合に出ることを目標に戦っているから、試合が終わってもすぐにいい準備をしたい」

 もちろんこの言葉の背景に海堀の存在があることは間違いない。

 攻撃陣が今ひとつ噛み合ない今大会にあって、今や堅守は頼みの綱だ。中盤から前線のパスワークが注目されがちななでしこだが、その守備はストロングポイントになりつつある。決勝トーナメント1回戦は、アメリカ、フランス、英国、ブラジルのいずれかとの対戦が濃厚だ。これまでとはワンランク上の相手に彼女たちがどう対処するのか。不安より楽しみが大きい。


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