【日本代表】最強ジャパン完成へ、香川真司が誓ったエースとしての「成長」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 例えば、前回の最終予選を戦っていた頃の日本は、ただひたすらにパスを回すことしかできなかった。相手にしてみれば、人数をそろえて守りを固めてしまえば、日本にボールを持たれても怖くはなかった。

 だが、今は違う。

 前田遼一が、本田圭佑が、香川真司が、相手に寄せられてもボールを収め、前が空けば、積極的に仕掛けていく。そうした選手の存在が、日本をうまいだけのチームから、怖いチームへと変貌させていったのだ。

 香川は「審判の笛(の問題)はあるにしても、追いつかれたのは残念。勝ち切る強さをもっと求めていかないといけない」と話しながらも、オーストラリア戦をこんな言葉で振り返った。

「今日はホント楽しい90分だったし、もちろんタフな相手だったけど、やりがいがあるサッカーもできていた。チームとして攻撃の形は、ある程度は示せたと思う」

 香川だけではない。試合後、多くの選手が判定に対する不満や、勝てなかったことへの悔恨以上に、自分たちが狙いとするサッカーを貫けたことの手応えを口にした。

 それらの言葉は、日本代表が現在どんな状況にあるのかを示す、何よりの証だろう。

 しかし、チームの出来については前向きに話す香川も、自身の話となると、自然と厳しい言葉が並びはじめた。

「チャンスは作ったけど、ゴールは入ってないので、そこは評価できないし、僕自身、この3試合を通して1点だけ。自分としてはガッカリしている」

 確かに、いい流れで3試合を戦い抜いた日本代表にあって、『背番号10』だけは本来持つ力のすべてを発揮できないままだ。狭いスペースにも果敢に飛び込んでいく香川の良さは見られるものの、本人が語るように、ゴールを決め切るまでには至らない歯がゆさがつきまとう。香川が続ける。

「(一緒にプレイする時間が短い)代表チームの難しさもあるし、こればかりはやり続けるしかない。僕自身、そこ(狭いスペース)で受けたときのプレイでもっと(他の選手に)自信を与える必要がある」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る