【五輪代表】「最強」スペイン同組も、日本にとって絶好の組み合わせ (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 さらに下の世代からの底上げも見逃せない。昨年のU-20ワールドカップでベスト8に進出(準々決勝ではPK戦の末、優勝したブラジルに惜敗)したチームからも、テジョのほか、バスケス(エスパニョール)、コケ(A・マドリード)、イスコ(マラガ)らが昇格。確実に選手層は厚みを増している。

 加えてオーバーエイジ枠で、昨年のU-21ヨーロッパ選手権で得点王に輝いた88年生まれのアドリアン・ロペス(A・マドリード)が、同い年のディエゴ・カペル(スポルティング・リスボン)とともに加わることが予想される。その顔ぶれは、実に絢爛豪華だ。

 実際のところ、選手の所属クラブとの兼ね合いや、ケガを含めたコンディションの問題もあり、これらすべての選手がそろうかどうかは不確実な部分もあるが、いずれにしてもスペインがグループDの中心となるのは間違いない。一ファンとして言うなら、再来年のワールドカップの予習としても見ておくべき、楽しみなチームなのである。

 日本が現実的にグループリーグ突破を目指すなら、カギとなるのは2戦目以降で対戦する、ホンジュラスとモロッコということになる。そのうち、グループリーグ突破のライバルとなるのは、大宮や京都というJクラブで監督を務め、韓国やオーストラリアの代表で指揮を執るなど、日本をよく知るピム・ファーベック監督が率いるモロッコだ。メンバーの多くが、スペイン、フランス、オランダなどでプレイする"海外組"で占められ、選手個々の能力は高い。

 それでも、過去のU-23やU-20世代での実績から見て、総合力で日本を大きく上回る相手とは考えにくい。3カ国の中でも最も力の劣るホンジュラスを叩いて、最後にモロッコとの決戦に臨みたい。

 前回の北京五輪でも、日本がナイジェリアとオランダに力負けしたのは確かだが、それ以上に痛かったのはアメリカに敗れたことだった。暑さで相手の動きが鈍かったことを考えれば、力関係は互角以上だったにもかかわらず、まったく自分たちの力が出せずにミスを連発。この初戦の黒星が、結果的に3試合を通しての趨勢(すうせい)を決めたのである。

 つまり、今回もスペインばかりを意識していても仕方がない。むしろ重要なのは、互角の相手に対し、力を出し切れるかどうか。それができれば、少なくとも前回よりも高い確率で、グループリーグ突破の可能性があるはずだ。

 もしスペインに次ぐグループ2位通過を果たせれば、準々決勝で対戦が予想されるのはブラジル。メダル獲得への道のりは厳しいが、国際経験を重ねるという意味では、またとない絶好の組み合わせになったと思う。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る